左官の歴史・語源や由来・左官の仕事について


皆様、こんにちは。

埼玉県さいたま市を拠点に関東全域で、一般住宅からビル、店舗までさまざまな建物の内装左官・外装左官を手掛けている美匠です。


伝統的な壁の仕上げ方法である左官は、その味わい深い仕上がりや機能性の高さから、近年再評価が進んでいます。しかし、昔に比べて施工の機会が減ってしまったため、そもそも「左官」がどのような仕事なのかご存じない方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、左官の歴史や語源に触れながら、その魅力をご紹介します。




■縄文時代から存在した「左官」


左官の起源は、縄文時代にまで遡るとされています。縄文時代は主に竪穴式住居で生活していましたが、その壁の材料となる土を積み上げて土塀を作っていたことが、左官の始まりと考えられているのです。その後の飛鳥時代には、石灰を使用して白塗りの壁を仕上げる技術や細木を使用して壁を作る技術などが生み出され、左官はどんどん発展していきました。


また、安土・桃山時代には、千利休などが発展させた茶道の分野でも、茶室の建築において左官が活躍していました。江戸時代には漆喰仕上げが左官によって開発され、江戸のまちで頻発していた火事の抑制に貢献。デザイン性が飛躍的に向上したのもこの頃で、商人の土蔵や町家の装飾施工も請け負うようになりました。さらに、文明開化後に広まった洋風の建築物の装飾にも、左官が携わっています。


(江戸時代後期の左官の様子(左)|作・十返舎一九、画・歌川広重「宝船桂帆柱」より|提供:人文学オープンデータ共同利用センター)


このように、左官には長い歴史があり、時代の流れに乗って発展してきました。その技術は芸術的にも高く評価されており、現在でも新しい素材や工法を取り入れながら、建築業界のあらゆるシーンで活躍しています。



■そもそも、なんで「左官」っていうの?~左官の語源~


左官に関するよくある質問の1つが、「どうして壁を塗る仕事・職人を『左官』って呼ぶの?」というものです。左官の語源に関しては諸説ありますが、主な説としては以下の3つが挙げられます。


1.官職として与えられた


昔は官邸に出入りするためには、何かしらの官職が必要でした。そこで、建築の壁塗りに携わる人に「左官」という官職を与え、その名称が現在でも使用されているという説です。


2.大工を右官と呼んでいたから


建築において、骨組みを作る大工のことを「右官」と呼んでいたことから、それに対して壁塗りの職人を「左官」と呼ぶようになったという説です。ただし、大工のことを右官と呼んでいたという事実は文献などで確認されておらず、あくまでも俗説の1つとなっています。


3.古代の階級の名残


古代日本の宮内省には、主に宮廷の建築に関する仕事を担う「木工寮(もくりょう)」という組織がありました。その組織内の階級として、壁塗り職人には「属(そうかん)」が与えられており、それが訛って「さかん」と呼ばれるようになったという説です。現在では、この説が最も有力ではないかと考えられています。


(引用:明治時代初期の左官の様子|歌川国輝「衣喰住之内家職幼絵解之図」|実業史錦絵絵引 渋沢栄一記念財団HPより)







■現代の「左官職人」が行う工事とは?


現代の左官職人の主な工事は、建物の下地作りです。内装・外装を問わず、コンクリートの表面を平滑にする作業(ならし)や、塗装・タイル張り仕上げの下地作りなどを手掛けています。もちろん壁の仕上げも大切な仕事で、左官材料や技術の発達によって、より意匠性・機能性に富んだ壁が作れるようになりました。


現代の左官で使われている材料は、漆喰に珪藻土、砂、モルタルなどさまざまです。これまで当ブログでご紹介してきたモールテックスのように、優れた機能を持つ次世代の左官材料も普及してきています。多様な左官材料を熟練のコテ捌きで塗り上げることで、同じものが2つとない自由な表情や陰影を生み出せるのです。


また、左官材料は基本的に自然素材のため、シックハウス症候群の原因となる有害物質を含んでいません。解体・廃棄する際も有害な産業廃棄物をほとんど出さず、環境への負荷を最小限に抑えて処理できます。さらには調湿性や防火性に優れ、厚く塗れば断熱性や防音性も期待できるなど、多くの魅力があるのです。


一方、左官工事をする機会が減ったことから、優秀な左官職人も減少しています。美しく機能的な壁を作りたい時は、経験豊富な左官職人がいる会社に依頼することが大切です。まずは専門業者に問い合わせてみましょう。



美匠は、自然素材を使った「人にも環境にもやさしい左官工事」を行っている会社です。お問い合わせに対しご自宅を訪問して説明するなど、お客様に寄り添った提案を大切にしています。ヒアリングから施工までベテランの職人が担当することで希望通りの仕上がりになり、直接ご依頼をいただければ中間手数料がかからずコストカットも可能です。


取り扱い材料も豊富なため、モールテックスをはじめ、さまざまな左官材料に対応できます。漆喰の壁に興味がある、左官工事が得意な業者を探しているという方は、ぜひさいたま市の美匠までご相談ください。


<美匠の施工事例>

https://www.bisyou.jp/showcase