皆様、こんにちは。
埼玉県さいたま市を拠点として関東全域で、一般住宅から店舗まで、幅広く内装左官・外装左官を手掛けている美匠です。
現在、珪藻土のバスマットにアスベストという発がん性物質が基準値以上に含まれていたとして、メーカーが自主回収しているとニュースになっております。アスベストが危険ということは何となく知っているものの、なぜ危険なのか? 珪藻土とアスベストはどのような関係にあるのか? といったところは知らない方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、珪藻土の安全性に関する疑問にお答えします。
■珪藻土とアスベストは、まったく別の素材です!
まずは、珪藻土とアスベストの関係から見ていきましょう。最初に結論をいうと、珪藻土とアスベストはまったく別の素材です。最近出回っている問題のバスマットは、調湿材料として珪藻土を、補強材としてアスベストを使っています。発がん性があるのはあくまでもアスベストであって、珪藻土自体には何の問題もないのです。
かつてアスベストは、主に断熱材として建築資材によく使われていました。ところが、繊維物質であるアスベストは、一度肺の中に入ってしまうと自然に排出されにくく、がんの発生につながることが判明。日本でも段階的に規制が強まり、最終的に全面禁止されたという経緯があります。
一方で珪藻土は、珪藻というプランクトンが堆積してできた土です。調湿性能や消臭性能の高さから、壁材として人気があります。しかし、珪藻土100%でバスマットやコースターを作ろうとしても固まらず、仮にできても強度が足りません。問題のバスマットは、その補強材としてよりによってアスベストを使用していたのです。
■珪藻土に発がん性があるというのは誤り
次は、珪藻土の成分についてより詳しく見ていきましょう。珪藻土を素材として利用する時は、安定性を高めるために焼成し、不純物を取り除くのが一般的です。珪藻土の主成分である二酸化ケイ素は、焼成する前は「非晶質シリカ」、焼成すると「結晶質シリカ」という粒子の形を取ります。
この結晶質シリカについて、「形状がアスベストみたいに尖っているから、焼成した珪藻土には発がん性がある」という情報が一部で流れました。確かに、結晶質シリカには発がん性があり、アスベストと同じ発がん性の「グループ1」に分類されています。しかしながら、焼成によって結晶質シリカに変化するのはごく一部であり、粒子の形状は円盤状のまま変化しません。そのため、珪藻土に発がん性があるというのは誤りなのです。
そもそも、結晶質シリカは砂浜や公園の砂場などに普通に存在しており、大気中にもわずかながら漂っています。発がん性を発揮するのも、「職業的に長期間、高濃度の粉塵を吸入する場合」に限定されているのです。近くにあるだけでがんを生じさせるような物質ではなく、左官工事の際にもしっかり対策を取っているため、壁材として使う分にはまったく問題ないといえるでしょう。
■国産の珪藻土なら安心。工事は知識の豊富な業者に依頼しよう
アスベスト入りバスマットの問題が明らかになって以降、珪藻土は風評被害を受け、問題のない珪藻土製品まで捨ててしまう方も現れました。壁材に珪藻土を使おうと考えていた方も、「本当に安全なのだろうか?」と不安を感じているはずです。安心して珪藻土を使うためにはどうすればいいのでしょうか。
まず、大前提として、左官材料としての珪藻土はアスベストを含有していません。先に解説した通り、日本ではアスベストの使用が全面禁止されているからです。国産の珪藻土にアスベストが混入していることは、まずありえないといっていいでしょう。
問題となったバスマットは中国からの輸入品であり、中国ではアスベストの混入は禁止されていないことから、製品化する工程のどこかでアスベストなどを混ぜて固化されたものと考えられます。あくまでも、アスベストの混入に気付かず輸入してしまったことが問題なのであって、珪藻土自体に問題があるわけではありません。
そのため、壁材としての珪藻土は有害ではなく、今後も安心して使えます。心配なのであれば、国産の材料を使っている業者に依頼するのがおすすめです。左官工事のことや珪藻土についての知識が豊富であればあるほど、安心して暮らせる住まいを提供してくれるでしょう。
美匠では、住宅から飲食店などの商業施設まで、自然素材を使った「人にも環境にもやさしい左官工事」を行っています。取り扱い材料も豊富なため、さまざまな左官材料に対応可能です。漆喰の壁に興味がある、左官工事が得意な業者を探しているという方がいらっしゃいましたら、ぜひさいたま市の美匠までご相談ください。
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