外装に左官、塗り壁を導入してみませんか?


皆様、こんにちは。

埼玉県さいたま市を拠点として、関東全域で、一般住宅からビル、店舗などの内装左官・外装左官を手掛けている美匠です。


新しい外壁材が増えている中、昔ながらの左官(塗り壁)の技術が最近見直されています。例えば、COREDO(コレド)室町などの都心にある大型商業施設をはじめ、新しく建設された郊外のショッピングモールなどでも、左官による外装仕上げを多く見かけることができます。


(左官で仕上げられているCOREDO室町の外壁)


そこで今回は、日本で古くから外装につかわれている左官とその特徴を、まとめてご紹介したいと思います。




■外壁を塗り壁にするメリットとデメリットは?


まずは左官の特徴について、メリットやデメリットを押さえておきましょう。



・メリット


左官の最大のメリットといえるのは、左官職人の手作業により趣向を凝らした唯一無二の外壁に仕上げることができるという「意匠性が高さ」です。左官は、職人の腕前によっていろいろな壁の表情を生み出すことができ、他の外壁材ではできないような魅了的な仕上がりになります。カラーやデザインのバリエーションも豊富で、壁材にガラスや天然石をあえて混ぜたりするといったこともできます。



・デメリット


左官が手仕事であるが故に、左官職人の腕前によって仕上がり具合や耐久性などが左右されてしまうことがデメリットとなってしまいます。また、壁材が乾くまでに時間がかかるので工事期間が長くなりがちで、コスト面も比較的高額となります。左官の魅力を存分に堪能するためには、腕の確かな職人を有する業者をしっかりと選ぶことが大切です。





■サイディングとの違い


現在多くの住まいの外壁で導入されている外装材といえば、サイディングです。サイディングと左官の違いはどこにあるのでしょうか?



・サイディングが大きなシェアを占める理由


サイディングは、金属やセメントなどの素材から作られるパネル状の外壁材のことで、外壁に貼り付けていくことで仕上げます。この外壁材は工場で大量生産されますので、素材コストを安く抑えることができます。そして、工法が貼り付けていくという作業なので、施工する職人の腕に大きく左右されずに一定の仕上がり具合にすることができます。「コストが安くて、手軽に施工できること」が、サイディングが住宅などで大きなシェアを占めている理由です。



・サイディングのメリット、デメリット


サイディングの一番のメリットとしては、やはり初期コストの安さが挙げられます。しかし、初期コストが安い代わりに、経年劣化しやすくてメンテナンスコストがかかることがデメリットといえます。サイディングでは、10年ほどで大掛かりなメンテナンスが必要となるケースが多いです。

またサイディングは色柄がどんどん増え続け、印刷技術の高まりもあって「レンガ風」「石積み風」など、かなりリアルな表情のものも出てきています。しかしどうしても疑似感は出てしまい、塗り壁に比べると質感の面でも劣ってしまうことがデメリットの一つとして挙げられます。

初期コストの面から考えるとサイディングは確かに魅力的ですが、長い目で見たライフサイクルコストや、外壁の意匠性や味わい深さから考えると、塗り壁には敵わないのではないかという印象です。


(旭トステム外装「Danサイディング スチール 深絞り ソリッドボーダーSF」)




■メンテナンス方法を知っておけば安心!~ジョリパットのメンテナンスのサイン


住まいの外装に左官を導入しようとしても、メンテナンスについて知っておかないと不安ですよね。一般的に左官はサイディングと同様に、構造としては30年~40年の耐用年数があるといわれています。また長持ちさせるためには定期的なメンテナンスが必要ですが、そのメンテナンスの周期の目安としては、サイディングが7~8年なのに対して、左官は8年~10年とし少し長めです。

ではここで、左官の外壁で見られるいくつかの症状に対してのメンテナンス方法をご紹介します。


外装左官では近年「ジョリパット」を導入されるケースが多いので、まずはジョリパットの例を挙げておきます。




・撥水性の低下


ジョリパットはもともとある程度の吸水性のある材ですが、それでも雨で濡れた跡がいつまでも残っているような状態になっていたら、防水性が落ちている証拠です。晴れている日に水をかけてみて、濡らした跡がいつまでも残っているようなら、点検の時期です。



・汚れが落ちない、コケ/藻/カビが発生している


普段ご自身でできるメンテナンスとして、水洗いで柔らかめのブラシで優しくこする方法があります。それでもなかなか汚れが落ちない場合は薄めた中性洗剤で軽く擦り洗いをしましょう。それでも汚れが落ちにくいときは、こちらも防汚性が弱まってきている証拠となります。



・クラック(ひび)が発生している


ジョリパットは弾性が高くねばりが強いので、下地のひび割れや材料自体の伸び縮みによるひび割れが発生しにくい特徴があります。それでも、雨水を吸収するとわずかに膨張し、乾燥すると収縮して戻ります。この膨張と収縮の繰り返しに耐えられなくなると、ひび割れが発生してきます。放置するとひびの数が増えてくる可能性もありますので、早めのメンテナンスがおすすめです。



上記のような状態が見られたら、信頼できる左官業者に相談をしてみましょう。たいていはジョリパットのメーカー、アイカ工業から販売されている「ジョリパッドフレッシュ」という専用の塗料で対応することになると思われますが、他のメーカーからも、ジョリパットに対応した透湿性のある塗料がありますので、担当する業者さんに聞いてみましょう。




■モルタルのメンテナンスのサインは?


以下では、左官と同じくコテを使う「塗り壁」として分類される「モルタル外壁」のメンテナンスのサインについても、ご参考までにご紹介しておこうと思います。モルタルはセメントと砂を混ぜたもので、レンガやタイルの接着剤や目地材としても使われるなど、非常に使用頻度の高い材料です。仕上げも多彩で、「スタッコ仕上げ」や「リシン仕上げ」などが有名です。



・チョーキング


壁に触れた際、手にチョークのような粉が付着する症状のことを「チョーキング」と呼びます。これは紫外線などの影響で、塗料が劣化して防水機能が低下している状態です。チョーキングの症状が見られる際は、まず洗浄によってしっかりと洗い流してから、塗料の塗り替えを行ってあげると良いでしょう。




・コケ/藻/カビが発生している


コケや藻が発生しているのは、塗膜の防水機能が弱まって水が滞留している可能性が高いです。そのまま放置しておくと、コケが放出する「根酸」という酸性物質の影響で、外壁材のセメントが中性化して脆くなるといったトラブルが考えられます。コケや藻の発生が見られる場合は、洗浄によってきれいに除去するメンテナンスをしてあげることをおすすめします。




・クラック


外壁の症状の一つであるクラックとは「ひび割れ」のことを指しており、経年劣化や地震のような自然災害などによって発生します。0.05~0.3mm未満の浅いひび割れは「ヘアークラック」とよばれ、比較的多くみられる症状なので、経過観察程度で良いでしょう。ただし0.4mm以上のひび割れの場合は建物の構造部分まで届いている可能性があります。雨水が侵入しやすくなり、建物の柱や梁の腐食、鉄筋のサビなどの原因となりますので、業者に相談してみましょう。この修繕方法としては、ひび割れ部分をV字に削り、シーリング材で充填するのが一般的です。





■まとめ


左官はサイディングと比べて初期費用がかかり、その凹凸によって汚れも付きやすい外壁ですが、定期的なメンテナンスをしてあげることで、美観と長寿命化が得られます。そして何よりも、職人の手から生み出される魅力的な左官の仕上がりは、他の外壁には決して真似のできない唯一無二の特徴といえます。

新築だけでなく、外装リフォームをご検討中の方も、ぜひ左官の外装を選択肢の一つに入れてみてはいかがでしょうか?


なお、美匠では一般住宅はもちろん、ビルや店舗など商業施設の左官工事も数多く手掛けております。新築や外装リフォームなどで左官の施工をご検討の方や、ゼネコンからハウスメーカー、工務店の方も、ぜひお気軽にご相談ください!


<美匠の施工事例>

https://www.bisyou.jp/showcase